本当に愛していたペットとの別れは、言葉では表せられない程辛いものになります。小さいころから育て、毎日顔を合わせ、共に成長してきたペットは、紛れもなくあなたの家族といえる存在だったはずです。
愛していたからこそ、お別れの後に「喪失感」や「空虚感」は激しい勢いで襲ってきます。ペットを失った気持ちにより、発症する病気のことをペットロス症候群と呼びます。
今回はペットロス症候群の症状や克服方法、そしてペットロス症候群の人々の間で話題になった『虹の橋』についてまとめてみました。
目次
ペットロス症候群について
具体的にペットロス症候群とは、その名の通りペットをロス(失う)することによって発症します。主な理由が死別となりますが、行方不明になってしまったり、盗難に遭ってしまったりした場合にも、発症することがあります。
深い愛情を注いできたからこそ、予期せぬペットとの別れにより、発症してしまう病気なのです。
ペットロス症候群の症状
ペットロス症候群は「深く落ち込む」や「喪失感に襲われる」をはじめとするいくつかの症状がありますが、以下の4項目は特に克服が難しいとされる症状です。
現実逃避
ペットとの別れを受け入れられず、事実を否定する状態です。脳がペットとの別れを受け入れられない場合の防衛機制の一種と言われています。
抑うつ
抑うつの程度は人によって異なりますが、たるい気持ちが続く軽いものから、情緒が麻痺する重いものまで存在します。
症状が軽いものであれば、すぐに回復の兆しが見える場合がありますが、重いものであれば、長期間に渡り症状が続くことがあります。
怒り
主に獣医に怒りの矛先が向けられることが多いです。また、病気やペットが怒りの対象になることがあります。これはストレスを晴らしたり、一時的に気を晴らしたりするためだと考えられています。
自責
先述した「怒り」の感情が自分自身に向けられた場合、自責の念が罪悪感に変わり襲い掛かります。
「日頃の餌が悪かった」「しっかり遊んであげられなかったからストレスが溜まった」など、過去を振り返り、自分を責め続けるのが特徴です。
ペットロス症候群になりやすい人
ペットロス症候群は精神面に大きく左右される病気のため、病気になりやすい人と、なりにくい人がいます。
ペットロス症候群の症状が出やすい人は、以下のような人です。
ペットに依存している人
近年「伴侶動物(コンパニオンアニマル)」と呼ばれるペットまでいるほど、ペットの地位が向上しました。特に一人暮らしをしていて、ペットを家族や兄弟のように愛する人や、老後にペットを子どものようにかわいがっている人は、ペットロス症候群になりやすい傾向にあります。
ペットを愛することは決して悪いことでありませんが、ペット中心の生活になればなるほど、失った時のショックは大きくなります。
自責の念が強い人
自責の念が強い人もペットロス症候群になりやすいと言われています。
ペットが病に侵され、最終的に安楽死を選ぶ決断をした場合に「あの時本当に正しい選択だったのか」と悩んだり、症状が出てから病院に行ったことを「もっと早く気づいてあげられていれば」と悔んだり、自分は悪いことをしていないのに、自分を責め続けてしまうためです。
また「あなたは悪いことをしていない」と強く言ってくれる、家族や友人がいれば良いのですが、一人暮らしでなかなか親しい人に会う機会がないという人も要注意です。
突然ペットを失ってしまった人
散歩中に事故でペットを失ってしまった人や、飼い始めたばっかりなのにペットが病気にかかってしまい失ってしまった人は、最もペットロス症候群になりやすいと言われています。
また、場合によってこれはトラウマになり、もう2度とペットを飼えなくなったり、同じ種類の動物と触れ合ったり出来なくなってしまいます。
ペットロス症候群の克服方法
ペットロス症候群は心の病のため、克服出来るか出来ないかは本人の気持ちに左右されることが多いです。しかし、気持ちを和らげる方法に前例があることも確かです。いくつかの克服方法を紹介します。
生前には最大限の愛情を注ぐ
少しでも「自分がやってきたことは間違いでは無かった」と思えるように生前には最大限の愛情を注ぎましょう。栄養面を考えた食事の管理や、ペットのために時間を取って遊ぶ日を作ったりすることは、決して自己満足ではありません。
いろいろなペットがいるように、いろいろな飼い主もいます。「あなたが飼い主で良かった」とペットに思われるように、パートナーとして胸を張れる心配りをしてあげてください。
お別れの後はしっかりと供養する
ペットを失った後に「悲しい」と思うのは、当たり前のことです。ただ、いつまでも前に進めないのは「優しさ」からくるのものではありません。ペットが天国に旅立った後は飼い主として、最後まで責任を果たしてあげましょう。
アルバムを整理する
辛いときにはペットとの思い出を整理しましょう。見ると余計に辛くなるのではなく、見ているうちに感謝の気持ちが強くなってくるのです。ペットがいるから今の自分でいられることを誇りに思いながら、懐かしい日々を思い出してください。
『虹の橋―Rainbow Bridge』とは?
ペットを飼っている人で「虹の橋―Rainbow Bridge」というタイトルを聞いたことがある人もいるのではないでしょうか?
この作者不詳の詩はアメリカのペットロス症候群の人々の間で話題になり、日本にやってきたのです。
虹の橋は、葉祥明氏の絵により美しい絵本になりました。
天国の手前に虹の橋と呼ばれる場所があります。そこには現世で天国へ旅立ったペットが、一番元気だった姿であなたを待っています。『また会いたい』その願いはいつか必ず叶うのです。
まとめ
いかがでしょうか?ペットを失くす気持ちは「喪失感」や「空虚感」となり、自分を深く傷つけてしまうのです。その時、悲しみを感謝に変えられるかは、あなた次第です。
そう思っても、あなたがなかなか立ち直れないのは、それほどペットを深く愛していたからだと思います。そんな優しいあなたが飼い主で、ペットも幸せだったと思います。
いつか自分の力で立ち直り、天国にいるペットに、感謝の気持ちを真っ直ぐに伝えられるようにしましょう。